「噛む犬」は人と愛犬の両方にとってリスク大!飼い主が行うべき対策とは?

2024.04.11全て犬関連コラム

最近、飼い犬が人やほかの動物を噛んで怪我をさせる事件、事故が増えています。
力の強い犬に噛まれれば当然怪我をすることもあるでしょう。一方、飼い主にとっては治療費や慰謝料など、金銭的な負担を強いられることになりかねません。
また、噛んだ犬にとっては殺処分という最悪の事態も考えられるうえに、反撃されて怪我をするなどのリスクがあります。
今回は、人にとっても犬にとってもリスクのある「噛む」こと、その対策について解説します。

「噛む犬」が増えている!?全国的な事件になることも

飼い犬が人やほかの動物を噛んで怪我をさせる事件、事故。中には複数の人が被害に遭ったなどして、テレビや新聞でも大きく取り上げられたケースも少なくありません。
では、実際には噛む犬がどの程度増えているのか見てみましょう。

犬の噛みつき事件・事故が増えている

テレビや新聞のニュースを見ていると、犬が人を噛む事件や事故が増えているように感じる人も多いのではないでしょうか。
実際、環境省が公表している犬の咬傷(動物に噛まれたことによる怪我)事故のデータ(下表を参照)を見ると、最近事故数が多くなっているのがわかります。

 

2010年と2015年とではそれほど大きな違いはありませんが、2020年は噛んだ犬は230頭ほど、噛まれた人や動物は260(人+頭)ほど増えているのです。
2020年以降も日本各地で咬傷事故は増加傾向にあり、さまざまな自治体から飼い犬による咬傷事故が多発しているという情報が公表されています。
その背景には、新型コロナ感染症の影響で犬を飼いはじめた人が増えたこと、外出自粛によって飼い犬がほかの人や犬と触れ合う機会が少ないまま成長したことなどが問題なのではないかとも言われています。

犬の噛みつきの犬と被害者の状況は?

下の表は上と同じデータから、2010年から2020年にかけて起きた事故発生時に噛んだ犬と被害者がどういう状況にあったのか、またどんな場所で事故が発生したのかを抜き出してまとめたものです。

 

 

これを見ると、「放し飼い」の犬や「野犬」による被害は年を追うごとに減っていっています。また、「犬舎等にけい留中」の事故も減っています。つまり、飼育環境や管理の状況がよくなって事故が起こりにくくなったからだろうと考えてよさそうです。その一方で、2020年だけは「けい留して運動中」に「公共の場所」で「通行中」の人や動物が噛まれる事故が増えています。

「けい留して運動中」や「公共の場所」での事故は2010年以降徐々に増えつづけていますが、2020年には急増と言えそうな増え方をしています。
つまり、リードをつないで行動や公園などを散歩している状況で、通りかかった人や動物(多くはほかの人が連れた飼い犬でしょう)が被害に遭っているケースが大きく増えているのだと考えられます。
リードが長すぎて問題が起きたときにすぐに対応できなかった、飼い主以外の人が不用意に犬に触ろうとした、犬同士の喧嘩を止めようとしてあいだに入った、などがおもな要因と考えられています。また、犬舎などから脱走した犬による被害も少なくないようです。

噛んでしまったときの「人」と「犬」のリスク

犬が人を噛めば怪我をします。また、感染症などのリスクもあるでしょう。その反対に、噛んだ犬にもなんらかの罰が与えられる可能性がありますし、それ以前に噛まれた人や動物に反撃されて怪我をするなど、相応のリスクがあると考えられます。ここでは、具体的にどのようなリスクがあるのかを解説します。

噛む犬が抱える「人」のリスク

犬の牙は鋭く、あごの力は強いので、本気で噛まれれば怪我をするほか、さまざまな感染症のリスクがあります。
よく知られているものとしては「パスツレラ症」や「破傷風」「狂犬病」などがあります。
パスツレラ症は、犬の約75%が持っていると言われるパスツレラ菌が傷口から侵入することで感染します。症状が進むと気管支炎や肺炎、敗血症などを起こす場合があります。
破傷風は土壌中に広く存在する破傷風菌によるもので、犬経由で噛まれた人や動物にも感染する可能性があります。全身の筋肉がこわばる、痙攣、手足の麻痺などの症状があらわれます。致死率も10〜20%と危険性の高い病気といえます。
狂犬病は国内ではほぼ根絶されていると言えますが、世界的に見れば毎年50,000人以上が命を失っている病気です。発症すると治療法がなく、ほぼ100%というきわめて致死率の高い感染症です。
また、噛んだ犬の飼い主にとっては過失傷害罪に問われる可能性があるほか、治療費や慰謝料などを支払わなくてはなりません。怪我の度合いや後遺症、休業補償などで数百万円もの高額となる場合もあります。

嚙む犬が抱える「犬」のリスク

飼い犬が人やほかの動物を噛んで怪我をさせた場合、その犬は殺処分となる可能性があります。
事故が発生した場所にもよりますが、たとえば東京都では、飼い犬が人に危害を加えたときは24時間以内に保健所に届け出をおこなわなければならないと定められています。
またたとえば栃木県は、「栃木県動物の愛護及び管理に関する条例」第8条において、知事は「犬が人の生命、身体又は財産に危害を加え、又は加えるおそれがあると認められた場合」に「犬の所有者又は占有者に対して、殺処分、施設の設置又は改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる」と定めています。
最近では安易な殺処分は全国的に減っていると言われますが、それでも殺処分の可能性はゼロではありません。
さらに、噛まれた人やほかの動物から反撃されて怪我をするリスクもあります。また、噛まれた犬からなんらかの病気に感染する可能性もないとは言えません。

犬が噛むリスクを減らすには?

犬が噛むリスクを減らすには、まず犬がなぜ噛むのかを知り、そのうえで適切なしつけをおこなうなどが必要です。
犬は驚いたときや恐怖を感じたときなどに、反射的に身を守ろうとして噛むことがあります。これは本能的な反応であり、完全になくすことはできません。
しかし、適切に学習させることで、噛まないようにしつけられます。
日ごろのスキンシップや遊びの中で、犬が噛んできたら遊ぶのをやめて離れます。可能であれば別の部屋に移動して、犬の視界から消えます。つまり、噛むと楽しい時間が終わる、飼い主がいなくなる、と学習させるのです。
これを繰り返すことで、犬は噛まないほうが自分にとってメリットが大きいと判断して自分から噛まないようになります。
なお、噛まれたときに大声で驚かせる、叩くなどすると、犬は怖いと感じて余計に噛むようになる可能性があります。

犬用口輪を活用するのも効果的

データを見るかぎり、犬が人やほかの動物を噛む事件、事故は増えていると言えます。中でも散歩中にとおりかかった人やほかの動物を噛んだと思われる事例が目立ちます。散歩中に人や動物に近づく際はより注意するのがよさそうです。

もし、不安があるなら口輪を使ってみるのもよいかもしれません。口輪は自由に口を開けられなくするアイテムで、ほかの人や動物を噛んだりする事故を防げるほか、拾い食いの防止や無駄吠えの軽減にも効果的です。

ただし、一般的な口輪は拘束具然とした見た目もあって、あまりよいイメージがありません。そこでおすすめしたいのが「quack(クァック)」です。

「quack」はアヒルのくちばしのようなユーモラスなシルエットながら、口輪としての機能もきちんと備えているのが特徴。

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