猫の問題行動の中でも、とくに問題になるのが「噛み癖」です。愛情表現の甘噛みならまだしも、本気で噛みついてくる猫に手を焼いている飼い主さんも意外と多いようです。
小さいとはいえ、猫は肉食動物ですから、本気で噛みつかれれば大怪我をする可能性もありますし、感染症のリスクも否定できません。重症化すれば、命にかかわる場合さえあるのです。
今回は、そんな猫の困った噛み癖について、噛む理由と対処法を中心にお話ししていきます。
本気?愛情表現?猫が噛む理由とは
猫が噛みつくといっても、常に攻撃の意図があるわけではありません。飼い主さんに対する愛情表現でも噛む場合があるのです。
ここでは、猫がなぜ愛情表現で噛みつくのか、大好きなはずの飼い主さんに本気で噛みつくのはなぜなのか、その理由を詳しく解説していきます。
猫が愛情表現で噛む理由
猫は甘えやスキンシップのひとつとして、軽く噛みつくことがあります。このようなときは、相手に対して攻撃する意図はまったくありません。いわゆる「甘噛み」がこちらです。
基本的には、親子や兄弟間で見られる行動ですが、親代わりである飼い主さんに対しておこなうこともあります。
「いっしょに遊ぼう」といった要求や甘え、愛情表現と考えられます。スキンシップが不足すると、不満から「もっと甘えたい」「もっとかまって」という気持ちから甘噛みをする場合もあるでしょう。
猫が本気で噛む理由
猫はたとえ飼い主さんであっても以下のような場面では、本気で噛みついてくることがあります。
・嫌なことをされた・怖いと感じた
・病気や怪我で痛みを感じている
・遊びや狩猟本能から
・ストレスからの攻撃行動
・もう十分に撫でられた
猫は基本的に攻撃的な動物ではありませんので、むやみやたらに噛みつくとは考えにくいでしょう。上記からもわかるように、猫が本気で噛むのは、恐怖心、痛み、不快感から逃れるため、興奮で本能が刺激されたときです。
甘噛みでも対処すべき?猫に噛まれるリスクとは
猫に噛まれると感染症のリスクがあります。抵抗力の弱い子どもや高齢者は、重症化すると命にかかわることもあると言われています。
猫に噛まれた際にはどのような感染症のリスクがあるのか、また噛まれてしまったときの応急処置について紹介します。いざというときに慌てないためにもぜひ覚えておきましょう。
病気のリスク
猫に噛まれた際に問題になるのは、さまざまな感染症のリスクです。本気で噛まれたときにとくに注意しなければならないのが以下にあげる病気です。
・猫ひっかき病
・パスツレラ症
・カプノサイトファーガ感染症
猫ひっかき病は、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感などの症状があらわれます。重症化すると脳炎を引き起こす場合もあります。
パスツレラ症は、傷が激しく腫れて痛みを伴い、重症化すると敗血症や髄膜炎を引き起こすことがあり、亡くなった例もあるため油断ができません。
また、日本での感染報告は少ないですが、カプノサイトファーガ感染症のリスクも。感染すると数日中に発熱、腫れ、腹痛、関節痛、頭痛などの症状があらわれ、重症化すると多臓器不全、皮膚壊死、敗血症といった合併症を引き起こしてやはり命にかかわります。
猫に噛まれたときの対処法
猫に噛まれたときは、すぐに傷を流水で5分ほど洗ってください。せっけんを使用しても良いですが、基本的には流水で流すだけで十分です。水道がない場合は、ペットボトルの水をかけて洗い流します。
洗う際は、傷口から病原体を絞り出すようなイメージで、傷口をしっかりと洗います。傷の表面だけでなく、傷の中の菌も洗い流すようにしましょう。
出血が止まらない場合は、患部を圧迫して止血してください。
出血が止まらない、傷が深い、裂傷になっているという場合は、すぐに病院を受診しましょう。また、数日経っても以下のような症状があるときは受診しましょう。
・腫れている
・痛みがある
・リンパが腫れている
・発疹が見られる
・発熱・悪寒・頭痛・嘔吐などの症状がある
噛む猫の対処法(原因別)
では、猫に噛まれないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?それには、猫の嫌がることをしない、子猫のうちから噛み癖対策を徹底する、ストレスを溜めない環境づくりの3つが重要になります。
それでは、もう少し具体的に見ていきましょう。また、同時におすすめのアイテムも紹介しますので、参考にしてください。
対処法1:本気で噛まれるような接し方は控える
基本的には、上記で紹介した猫が本気で噛む理由を避けるようにするだけでも噛まれなくなるはずです。
たとえば、猫をおどかしたり、怖がらせたりしない、リラックスしているときはそっとしておくなどです。撫でる際には、猫の様子に注意してしっぽを振る、イカ耳になるなど不機嫌そうにしだしたらやめるようにしましょう。
遊んでいる最中に興奮してきたら、一旦遊びを中断してクールダウンさせるのも効果的です。
子どもに対しては、突然猫に駆け寄る、大きな声を出さない、しっぽをつかまないなど、猫が嫌がる行動をしないように注意し、必ず大人が見ていられるときに遊ぶようにしてください。
対処法2:子猫のときにしつけをしっかりと行う
猫の噛み癖では、子猫のうちに噛まないようにしつけることが大切です。
子猫にとって、遊びは狩りのシミュレーションであり、本能に基づいた捕食行動でもあります。そのため、遊び足りないと欲求不満からさまざまな問題行動の原因にもなり得るのです。
また、子猫と遊ぶ際に手を使って遊ぶ癖をつけると、手を獲物に見立てて追いかけたり、噛みついたりするようになります。子猫と遊ぶときは、必ずおもちゃを使って遊ぶようにしましょう。
忙しくて子猫と遊べないというときには、ひとり遊びができるおもちゃを活用しましょう。たとえば、CatRig fur(キャットリグ ファー)ならネズミに近いサイズ感で子猫の狩猟本能を刺激できますし、軽い力で床をコロコロと転がるので飼い主さんがいなくても遊べます。子猫にあずけておくだけでストレス発散や運動不足解消にも役立ちます。忙しい飼い主さんは検討してみてはいかがでしょうか?
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対処法3:ストレスを溜めづらい環境にする
猫の噛みつきの原因にはストレスもあります。対策としては、適度にストレスを発散する、ストレスを溜めにくい環境にすることが大切です。そのためには、猫が猫らしく過ごせる環境作りが欠かせません。
猫がストレスを溜めづらい環境には以下のような要素が必要です。
・安心して過ごせる場所がある
・きれいで快適なトイレが用意する
・おもいっきり爪研ぎができる
・高い場所に登れる
猫にとって落ち着いて眠れる場所や、いざというときにひとりになれる場所は安心感を得るためにも必要です。また、本能を満たすためには、好きなときに好きなだけ爪研ぎができること、高い場所に登れることも重要です。
高い場所は落ち着ける場所、ひとりになれる場所としても最適です。また、猫は上下運動をすることでストレス発散にもなります。高い場所としては、おしゃれで実用的なCat Forest-2(キャットフォレスト ツー)もおすすめです。
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噛む理由を知って適切に対処しよう
猫が人間に噛みつく理由としては、愛情表現や嫌なことをされたときなどがあります。愛情表現であれば、大怪我をすることはまずありません。しかし、猫が嫌がることをしてしまったときは、たとえ飼い主さんに対しても本気で噛みついてくることがあります。
猫が本気で噛みつくと、飼い主さんにとっては大怪我や感染症のリスクがありますので注意が必要です。
猫の本気噛みは、原因を特定し適切に対処をすることで、軽減することも可能です。ぜひ今回紹介した方法を参考にしてみてください。
また、解決が難しい場合は、猫の問題行動の専門家に相談することも検討しましょう。なんらかの解決の糸口が見つかるかもしれませんよ。