犬がうれしいときに尻尾を激しく振るのはよく知られていますが、実はうれしいときだけではありません。また、猫も尻尾を振りますが、犬とは意味が異なります。
近年、研究によって尻尾を振ることには、さまざまな意味があることがわかってきました。
では、犬や猫はどういうときに尻尾を振るのでしょうか。また、尻尾の振り方にはどんな意味や感情があるのでしょうか。詳しく解説していきます。
猫と犬の尻尾(しっぽ)の役割
犬と猫の尻尾には、さまざまな役割があります。
たとえば、尻尾を振ることでバランスをとったり、コミュニケーションをとったりしています。さらに、寒い時期にはすぐれた防寒アイテムとしても活用できるのです。
では、実際にどのように使うのか見ていきましょう。
尻尾(しっぽ)の役割1:バランスをとること
犬と猫の尻尾は、日常生活のあらゆる場面でバランスをとって体の動きをコントロールしています。
たとえば、階段や坂道を上り下りするときや全速力で走りながら急旋回するようなときに尻尾が役立ちます。転ばないように尻尾を上下左右に振りながらバランスを取っているのです。
また、犬は泳いでいるときにも尻尾を使います。進行方向は顎やマズルの向きで決めますが、その際に尻尾を舵として活用しているのです。
一方、猫は姿勢を低くしつつ尻尾を高く上げてバランスをとることで、高い場所や不安定な場所も安全に移動できるというわけです。
尻尾(しっぽ)の役割2:コミュニケーション
犬と猫にとって、尻尾は感情を伝える大切なツールでもあります。「ご機嫌だよ」「いっしょに遊ぼう!」といったポジティブな感情から、「あっちいけよ」「それ以上近づいたら攻撃するぞ!」といった警告までさまざまな気持ちを表すことができます。
犬と比べて猫のほうが、尻尾をぷるぷると震わせる、先っぽだけ曲げるなど尻尾の形や動かし方が細かく、バリエーションも豊富です。
また、犬や猫は尻尾の動きとあわせて、耳や表情、鳴き声も使って感情を表現します。ですから、全身の状態もしっかり観察することで、愛犬や愛猫の気持ちをより深く理解できるでしょう。
尻尾(しっぽ)の役割3:防寒対策
寒くなると、犬や猫は丸くなって寝ますよね。そのとき、尻尾は体に巻き付け、顔を覆うようにしていると思います。これは体熱を外に出さないようにする工夫です。
尻尾で顔を隠すと、自分の吐いた温かい息を逃がさないようにできます。同時に、冷たい空気を吸い込まなくていいので体の内側が冷えるのを防ぐ効果もあるのです。
また、尻尾を体に巻きつけることで、尻尾を冷やさないようにしているとも言われています。
猫が尻尾で伝える感情とコミュニケーション
犬は尻尾を振って気持ちを伝えることは知られていますが、猫も尻尾を振ったり、立てたりしてさまざま感情を表現します。
猫の尻尾の動きには気持ちが隠されているのか、詳しく見ていきましょう。
尻尾(しっぽ)が膨らむ:威嚇
猫が尻尾を膨らませるのは威嚇のサインです。怒っているときや攻撃態勢のときに見せる行動です。攻撃的な気持ちになっているときは、尻尾だけでなく、全身の毛を逆立てて体を大きく見せようとします。
また、猫は驚いたときや怖いと感じたときなど、緊張をすると反射的に尻尾を膨らませます。
尻尾(しっぽ)がくねる:機嫌が良い
猫が尻尾をくねくねと動かしているときはご機嫌な証拠です。たとえば、大好きなおやつを準備しているときなどに見られます。
とくに上機嫌なときは、尻尾を立ててくねくねとさせます。
飼い主さんに、かまってほしい、甘えたいという気持ちのときにも見られます。
尻尾(しっぽ)が立つ:かまってほしい
猫が尻尾をピーンと立てて近づいてくるのは友好的なあいさつとされています。かまってほしい、遊ぼう、という好意的な気持ちの表われでもあります。
さらに、尻尾を足にからめてきたら甘えたい気持ちのときですから、なでたり、いっしょに遊んだりしてあげると喜んでくれるでしょう。
尻尾(しっぽ)が下がる:体調不良?
猫の尻尾が下がっているときは、しょんぼりしている、落ち込んでいるなどネガティブな気持ちになっているときと言われていますが、体調不良のときにも見られる尻尾です。
もし、尻尾が下がると同時に、食欲がない、ぐったりしているといった様子が見られたら病気の可能性を疑いましょう。
尻尾(しっぽ)を激しく動かす:ストレス・イライラ
犬はうれしいときに左右にブンブンと大きく尻尾を振りますが、猫の場合は、ストレスやイライラしているときに大きく振ります。
尻尾を大きく左右にブンブン振ったり、床に叩きつけるように振ったりと、いかにも「不機嫌です」という振り方なので分かりやすいでしょう。
ただし、リラックスをしているときや獲物を狙っているときにも、尻尾を大きく左右に振ることがありますので注意してください。
不機嫌かどうかを見分けるコツは耳です。もし、耳を寝かせていたら、不機嫌なときです。そっとしておきましょう。
犬が尻尾で伝える感情とコミュニケーション
犬はうれしいときに尻尾を振ると言われていますが、実はそれだけではありません。尻尾を振ることで、うれしい以外にもさまざまな気持ちを伝えています。それでは、詳しく見ていきましょう。
尻尾(しっぽ)をぶんぶんと大きく振る:好意・服従
犬がぶんぶんと尻尾を大きく振るのは、好意や服従といった気持ちからです。とくに、うれしいなどのポジティブな感情のときに見られます。
犬はうれしい、楽しいと感じると、尻尾を高くあげてブンブンと速いスピードで振ります。散歩に行くとき、おやつをもらうとき、大好きな飼い主さんが帰ってきたときなど見られることが多いでしょう。
また、尻尾を高くあげてブンブンと左右にテンポ良く振っていたら「仲良くしたい!」と思っているときです。
尻尾(しっぽ)を脚の間に挟む:恐怖・緊張
犬が尻尾を脚の間に挟むのは、不安や恐怖などネガティブな感情のときです。不安な気持ちが高まって、恐怖、怯えなど、強い緊張を感じている場合に見られます。
犬は恐怖を感じると、尻尾を足の間に挟むほかにも、急な攻撃から急所を守るために体を縮めるポーズをとります。このポーズは飼い主さんに叱られて「もう許して」という気持ちのときにもします。十分に反省していますから、許してあげましょう。
尻尾(しっぽ)を追いかけてぐるぐる回る:ストレス・運動不足
尻尾を追いかけてぐるぐる回る行動の原因で多いのはストレスと運動不足です。同じ行動を繰り返す「同常障害」といわれる行動です。
ひどくなると、自分の尻尾を執拗に舐めたり噛んだりするようになります。また、運動不足が原因の場合は、破壊行動につながる場合もありますので、注意が必要です。
ストレスの原因を排除する、十分な運動をさせるなどの対策でも症状に改善が見られないときは、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
尻尾(しっぽ)を小さく振る:挨拶・コミュニケーションが欲しい
尻尾をあまり動かさずに小さく振っていたら、目の前の相手に対して「歓迎しているよ」という好意的なあいさつです。仲良くしたいという気持ちを伝えていると考えられます。
もし、目が合ったときに小さく振っていたら、「ここにいるよ」というアピールの意味があるとも言われています。優しくなでながら声をかけてあげましょう。
尻尾(しっぽ)を高く振る・水平に振る:警戒・興奮
尻尾を振る高さで気持ちを表す場合があります。
犬は相手が何を考えているかわからない、気になるにおいがする、どうしたらいいかわからなくて迷っているといったときに、警戒心から尻尾を水平にして振ります。知らない犬や場所に警戒しているときなどにも見られます。
また、尻尾を垂直に近い状態にあげて小刻みに振っていたら攻撃的な気持ちのときです。そっとしておきましょう。
犬と猫の尻尾はコミュニケーションツール
犬と猫の尻尾は、バランスをとったり、コミュニケーションのツールだったり、防寒対策として使ったりと生きていくうえではとても重要な役割があります。
今回はその中でも、コミュニケーションツールとして尻尾に焦点をあててお話しをしました。ひとくちに「尻尾を振る」と言っても振り方はさまざまで、振る高さやスピードなどでも意味が異なります。
尻尾の動きにどんな意味があるのかを理解することで、愛犬や愛猫の気持ちがくみ取れるようになります。OPPOのコンセプトも人とペットの「コミュニケーションツール」を提案すること。愛犬、愛猫とより良い関係を築くためにも、ぜひ知っておきましょう!