家族の一員として、一緒に暮らしているペットたち。
近年、医療技術の発展やフードの改良、適切な飼育環境への意識の高まりによって、ペットたちの平均年齢は長くなりつつあります。
大好きな子たちと長く一緒にいられるのは、とても幸せなこと。
だけど同時に、ペットたちの老いじたくにも向き合っていかなければなりません。
人も動物も、年を重ねて老いるごとに、今まで出来たことがうまく出来なくなってしまいます。
ペットのなかでも飼育数の多い、犬・猫のシニア期と介護が必要になった時、どんなことが必要かまとめてみました。
ペットたちのシニア期って、いつ頃始まる?
一般的に、犬・猫ともに、人間の40代~50代にあたる中年期あたりに、少しずつ体力が落ちたり不調が現れたりすることが多いと言われています。
中年期
人でいうと40代から50代といった中年期にあたります。まだまだ元気ですが、老化防止のための対策を心がけましょう。
・犬の場合
小型・中型犬:7~9歳 大型犬:6~8歳
・猫の場合
7~10歳
高齢期
体力が落ちてきたり、老化の症状や病気が出始める時期。毎日の暮らしをサポートできる環境や、病気のサインのチェック、定期的な通院などを心がけて。
・犬の場合
小型・中型犬:10~12歳 大型犬:9~10歳
・猫の場合
11~14歳
後期高齢期
身体能力が落ちてしまい、介護が必要になる場合も。
高齢ペットにあわせた飼育環境や飼い主さんの心構えなど、心身・経済的にもしっかりと準備することが大事です。
・犬の場合
小型・中型犬:13歳以上 大型犬:11歳以上
・猫の場合
15歳以上
元気なときから見逃さない、ペットたちのサインをチェック
どんなに心を通わせても、ペットたちと言葉を交わすことはできません。
ですが毎日一緒に過ごしているからこそ、言葉にならないサインを見つけることができます。
〝なんだか、いつもと違う気がする…かもしれない〟と飼い主さんが見つけた違和感が、老化や病気の早期発見につながります。
毎日たくさん触れあいながら、ペットたちの健康チェックも心がけていきましょう。
【体調サインチェック お顔】
病気のサインが出やすいお顔の状態は、元気なときから気を付けてチェックしましょう。
・目
目ヤニがたまっている、目が塞がりがち、涙が出ている、痛がっている、しょぼしょぼさせたり痒そうにしている、白目部分が充血している、瞳の色が変化したり濁っている、左右の大きさが違う感じがする、見えづらくなっている……など
・耳
ニオイがする、傷がある、耳垢や汚れがある、痒そうにしている、聞こえにくくなっている……など
・鼻
鼻水が出る、クシャミや咳をする、熱っぽい、形がいつもと違う、呼吸音がいつもと違う……など
・口
ニオイがする、歯垢がたまっている、歯肉が赤くなったり腫れている、上手に食事がとれない、舌が出たままで苦しそうにしている、ゼーゼーという音がする、よだれを垂らす……など
【体調サインチェック 体】
年齢があがるとともに、皮膚の変化やしこりといったものが病気のサインとして現れやすくなります。
そして毎日体を触っていると、肥満気味だったり急に痩せたりといった状態もわかりやすくなります。
定期的なブラッシングや、全身を優しく触ってあげることでチェックしましょう。
・ボディ
おなかが膨らんでいる、しこりのようなものがある、イボ・ホクロのようなものがある、触られるのを嫌がる、痛がるような部分がある、痩せすぎ・太りすぎ……など
・毛並み
ボサボサと絡みやすくなっている、ニオイがする、毛が脂っぽい感じがする、毛がパサついている
・皮膚
痒そうにしている、ノミ・ダニがいる、黒いゴマのようなものがある、湿疹がある、皮膚が赤くなっている、掻きキズがある、脱毛しているところがある……など
【体調サインチェック 行動】
毎日の食事や排泄の様子も、健康チェックに欠かせないものです。
年齢があがると、少しずつ〝いつもの行動〟がうまくできなくなることも多くなります。
老化や病気の予防のために、日々の行動をしっかりチェックしてあげましょう。
・飲食
水をよく飲む・まったく飲まない、食欲不振、エサをこぼす、吐く……など
・排泄
下痢や軟便など便の様子がおかしい、尿の色や匂いがいつもと違う、便・尿が出ていない・量がいつもと違う、トイレの場所以外で粗相をしてしまう、何度もトイレに行く……など
・歩行
歩きづらそうにしている、足や関節を痛がっているような感じがする、歩くスピードが落ちている、ソファなどにジャンプするのを失敗する……など
病気のサインは、年齢や種類、性格など個体によって様々です。
まったくサインを見せなかったり、わざと隠す子もいます。
獣医師による定期的な健康診断と、気になることがあればすぐに診断してもらうことをおすすめします。
介護が必要になったとき、どんなことが必要?
ペットの老いじたく――介護が必要になったとき、どんな物やケアが必要になるかを、チェックしてみましょう。
【床ずれ防止対策】
年齢があがった犬や猫たちは、若いころに比べてお気に入りの場所にじっとしている時間や、睡眠時間が増えていきます。
また、病気や老化で歩行が困難になり、寝たきりに近い状態になる場合も。
そんな場合気を付けなければならないのは「床ずれ」です。
床ずれは、長時間同じ姿勢でいると、床に接している部分が圧迫されて血流が悪くなってしまう症状です。
・体重を分散させてくれる低反発ベッド
・U字、棒状、小判型といったクッションを使ってうまく姿勢を変えてあげる
・関節や肩、腰、頭部など床ずれが起こりやすい場所に付けるサポーター
など、ペット用の床ずれ対策グッズが販売されています。
床ずれ予防グッズを使いつつ、清潔な状態を保つこと、2時間に1回ほど体位を変えてあげることなどで床ずれにならないようにしてあげましょう。
【住まいのバリアフリー】
人間と同じように、高齢になったペットたちにもバリアフリーが必要になります。
特にお気に入りのソファなどに飛び乗ろうとして骨折してしまう事故は少なくありません。
行動を制限するのではなく、便利に好きな場所へ行ける方法を考えてみましょう。
・ソファステップ(柔らかい素材でできた数段の階段状のもの)
・スロープ(柔らかい素材でできた坂状のもの)
・ペットステップ(板状のステップ、大型犬などの移動に使用)
・猫用のトンネル、低いタイプのキャットタワーなど
OPPOではソフトな素材でできたキャットトンネルを販売しております。
ソフトな素材でできているため、怪我をすることなく遊べます。通常のトンネルと異なり、遊んでいるうちに形状や入口が変化する点も特徴です。
※商品ページ:FabCat tunnel
【食事の補助】
高齢になったペットの健康の維持にとって、食事は一番気を付けたいところ。
食べやすいこと、栄養価が高いことが重要です(病気の場合は獣医師の指示に従った療養食・投薬をしっかり行ってください)
・柔らかさや栄養価の高い、ペット用介護食
・食べやすい高さや角度に調整できる、食事スタンド
・流動食や投薬時に使用する、シリンジ(注射器型の投薬器)
【歩行補助】
歩きづらくなった場合や、まったく歩けなくなってしまった子のために、歩行を補助できる用具はたくさん開発されています。
シニア期の散歩は、歩くことで筋肉の衰えを防ぎ、寝たきりになってしまうのを避けられます。
散歩が大好きな子の気持ちを叶えてあげるためにも、役立つグッズをチェックしましょう。
・歩行補助用ハーネス(後ろ足、前足ごとにバンドを通して飼い主が歩きやすさをサポートするハーネス)
・ペットカート(小型・中型犬用のベビーカータイプ、大型犬用のカートタイプなど)
・補助カート(車椅子タイプのもの。下半身や上半身に麻痺が出た子の歩行を補助する)
【排泄補助】
高齢になったペットたちは、排泄機能が低下して自分だけできちんと排泄ができない場合があります。
そんなときは、柔らかいシートや指先を使って肛門に刺激を与えて排泄を促しましょう。
もしも排泄機能がまったくなくなってしまった場合は、獣医師の指導をうけて適切な排泄介助をしてあげましょう。
場合によっては、オムツやペットシーツを使います。トイレやベッドなどが、いつも清潔であるように気を付けてあげましょう。
シニア期のペットたちが、より快適に過ごしてもらえるように
高齢化したペットたちに必要なことは、それぞれの環境や性格、病歴によってさまざまです。
普段から家族や友人、パートナー、獣医師とのコミュニケーションをしっかりとること。
そして何より大好きなペットのサインをしっかり受け取ることです。
シニア期のペットたちが、より快適に過ごしてもらえるように――
どんなことが必要なのか、どんなふうに過ごすことがいいのかを、少しずつ考えていく時間を作ってみましょう。