大事な家族のひとりとして一緒に暮らす動物には、長く健康で過ごしてほしい――。
飼い主さんは、そう願いながらペットを迎え入れることがほとんどでしょう。
ペットとしてお迎えされるなかでも、人気の高い「猫」ちゃん。
高齢猫向けのごはんの充実、飼育環境の改善、医療の発展などさまざまな理由から、その平均寿命は約14.7歳と長くなってきています。
長く一緒に暮らせるなかで、気になるのは健康でいられる時間のこと。
猫の健康を守るために、知っておきたいのは「腎臓」の話です。
猫にとって、かかりやすい病気「腎臓病(腎不全)」
7歳以上の猫の死亡原因として多いのが「泌尿器」に関する病気や「腎不全」。
どちらも腎臓の働きが関わっている症状です。
とくに「慢性腎不全」はシニア期の猫にとっては、かかることが多い病気のひとつです。
腎臓はどんな働きをしているの?
腎臓は体のなかに、左右合わせて2個あります。
主な働きは
• 血液内にたまった毒素や老廃物をろ過する
• きれいになった血液を体へ戻す
• 尿をつくり、毒素や老廃物を体の外へ排出する
• 血液を造りだすホルモンをつくる
• 体内の水分量を調整する
腎臓の働きが悪くなってしまうと、血液内の毒素や老廃物が体内にそのまま戻ってしまい、さまざまな臓器にダメージを与えてしまいます。
猫もヒトも、腎臓の働きはほとんど同じ。
そして、なかなか悪くなったことに気づかず、病状が進んでしまうことが多い場所です。
猫のかかる腎臓病は2種類
腎臓の機能が低下することで起こる「腎臓病(腎不全)」には、急性と慢性の2種類があります。
急性腎臓病
保冷剤やユリ科の植物などを誤って食べることで起こる中毒や、脱水や心臓病といった別の病状をきっかけに発生します。
急性腎臓病は、数時間から数日という非常に短い期間で腎臓の機能が低下してしまいます。
下痢や嘔吐、体温の低下、おしっこがまったく出ないなど〝普段と違う・なんとなく元気がない〟と感じたら、すぐに病院で診てもらいましょう。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、3か月以上~長期間にわたって少しずつ腎臓機能が低下していきます。
その原因は、尿路結石などの泌尿器系の疾患、腎臓の炎症・腫瘍、細菌・ウイルスによる感染症など、さまざま。
また、加齢が原因となっている場合も多く、7歳以上のシニア期を迎えるころから増え始めると言われています。
10歳以上の猫の約3割が慢性腎臓病にかかっているというデータもあります。
慢性腎臓病(慢性腎不全)にかかったら、どんなことが起こる?
初期症状がわかりにくい、慢性腎臓病――。
実は、何の症状がなくても少しずつ進行している場合があります。
慢性腎臓病にかかったら、猫の腎臓はどんな状態になるのかを知っておきましょう。
ステージ1
とくに気になる症状が見当たらず、元気な様子です。
尿・血液検査でも異常値は出ず、特殊な検査をした場合だけ腎臓機能の低下が見られます。
このときの腎臓の機能は、100%~35%
なんと、腎臓が4割ほどしか働いていなくても、機能低下に気づけないことが多いのです。
ステージ2
元気で食欲もある状態ですが、
• 水をよく飲むようになる
• おしっこの回数・量が増える
• 尿の色が薄くなる
といった症状が見受けられ、尿検査で異常値が示されます。
このときの腎臓の機能は、33%~25%
それでも体調維持に必要な機能は残っています。
ステージ3
腎臓機能の低下から、おしっこで血液内の毒素や老廃物を排出しづらくなっています。
• 元気がなくなったように見える
• 食欲が低下する
• 毛づやが悪くなる
• 嘔吐する
といった症状が見受けられ、血液検査で異常値が示されます。
このときの腎臓の機能は、25%~10%
腎臓機能の低下を抑えるとともに、尿毒症による貧血や食欲低下、脱水の治療なども積極的に行います。
ステージ4
腎臓機能が低下し、尿毒症が悪化している状態です。
ステージ3で起こる症状に加えて、
• 尿が全くでない
• 食欲がなく急激に体重が落ちる
• 嘔吐、痙攣が起こる
• 意識がはっきりしない、ほとんど動かない
といった状態が見受けられます。
このときの腎臓の機能は、10%以下。
かなり重篤な状態で、治療を行わないと命を落としてしまう危険があります。
猫の腎臓機能を守るために、飼い主ができること
多くの猫がかかってしまう、慢性腎臓病。
腎臓病は完全に治すことはできないと言われています。
できるだけ初期の段階で気づいてあげて、腎臓機能の低下を抑えることが重要です。
そのために、シニア期を迎える前から飼い主にできることをチェックしましょう。
〝いつもの〟状態を知っておこう
年齢や品種・食事内容・季節によって変化はありますが
• ごはんを食べる量
• お水を飲む量
• おしっこをする回数・量
が、どれくらいかを知っておきましょう。
健康な成猫の場合、体重1kgに対して約50ml程度が平均と言われています。
かかりつけ医に適正な量を聞いておくこともオススメします。
こんな症状が出ていませんか?
腎臓に関する気になることを見逃さないようにしましょう。
老化だろうと見過ごしてしまいがちな症状もたくさんあります。
いつもと違う変化が見られたら、病院の受診を。
• 水をたくさん飲んでいる
• 尿の量が増える、色が薄い
• 食欲が落ちている
• 毛づやが悪くなる
• おしっこが出ない・出にくい
• トイレのときに鳴く
• よく寝るようになる、あまり動かない
• 便秘気味
• 口臭がひどくなる
• 体重が落ちる
定期的な検査で腎臓の状態をチェック
子猫の時から、かかりつけの動物病院を作っておくことはとても重要です。
そして7歳を過ぎたあたりからは、年2回程度の定期健診をオススメします。
尿や血液検査で、腎臓機能の低下を初期段階で見つけましょう。
お水はいつでも飲みやすく
腎臓への負担を防ぐためには、毎日水をきちんと飲むことが大切です。
猫にとって「お気に入りの水飲み場」はそれぞれ。
とくに気を付けたいポイントを抑えて、いつでも水が飲めるようにしてあげましょう。
• 水飲み場を複数作っておく
• トイレやごはん入れと離しておく
• 常に新鮮な水を用意する
• 流水(蛇口から細く水を出す)を作ってみる
• 飲みやすい容器(高さのある水入れなど)を選ぶ
猫にとって、水が飲みやすい食器を選んであげましょう。
そこで、おすすめしたいのが「TokoBowl(猫用)」です。
脚付きで高さがあるので楽な姿勢で水を飲むことができます。
※商品ページ:TokoBowl for Water(トコボウル・フォーウオーター)猫用水飲み/TokoBowl for Food(トコボウル・フォーフード)猫用食器
ごはんの見直しも大切
毎日食べるごはんは、健康維持の重要なポイントです。
ヒトと同じように、塩分や脂肪が多い食事は病気のもとになってしまいます。
年齢や体重に合わせて、キャットフードの見直しを行いましょう。
きれいなトイレを用意しよう
猫はトイレが使いにかったり、不潔だとおしっこを我慢するときがあります。
常に清潔さを保てるようにしましょう。
シニア期を迎えて体力が衰えてくると、トイレの入口の高さも注意が必要。
低めのタイプに替える・スロープを付けるなど、トイレに行きやすい環境を作りましょう。
おしっこの状態を知ろう
猫の体調を知るうえで大事なのは、排泄物のチェックです。
とくに「尿」の量を知ることは、腎臓病のサインとして見逃せないポイント。
ここ数年で、猫のヘルスケアに役立つトイレが開発されています。
【スマート家電でモニタリング】
おしっこの回数・量・体重などを自動で計測し、クラウド上に記録できます。
専用トイレを使うタイプ、いつものトイレの下にモニター用のボードを設置するタイプなどがあります。
【尿のチェックキット】
いつものトイレに、特殊なシートを敷いて尿を採取し、濃度や色・量をチェックできます。
毎日ではなく、3か月に1度程度の定期的なチェックを行います。
シニア期のQuality of life(クオリティ オブ ライフ)を向上して生きていくことは、猫にとってもヒトにとっても幸せに繋がります。
「いつもとちょっと違う?」といった小さな変化を見逃さないことが、病気予防の第一歩。
家族である猫の〝いつも〟を、しっかり見守ってあげましょう。